がんのタイプの診断に用いられるマルチカラーの蛍光薬開発
がん細胞やリンパ節に取り込まれ、さまざまな色で光る蛍光薬剤の開発に、米国立がん研究所(NCI)の小林久隆主任研究員を中心とした開発チームが11日までに成功したとのこと。
特定のがんと結びつく性質のある抗体に蛍光物質を載せて注射し、近赤外線をあてて光らせる方法。一度の画像診断で、複数のがんについて同時に適切な抗がん剤を選ぶことを可能にする技術の開発。
米国立がん研究所(NCI)は、がんと免疫システムの研究においては世界最先端の研究が行なわれているところ。
がんを見つけるのに色々の診断法がある。
例えば、がんの腫瘍マーカーというのは、 がん細胞やがん化した組織が特異的に生成する物質でがんの種類の識別や診断においての目安として確認に用いられる生体物質のこと。
産生器官ががん化すると共に異常発生することで血液中に多量に分泌されるもの。
しかしこの腫瘍マーカーでは、当初、がんのタイプや病巣の種類を特徴ずける腫瘍マーカーが見出されることに期待されていたが、実際には、そのような情報を与えてくれる腫瘍マーカーの発見は、非常に困難で、今日では、がんの腫瘍マーカーは、補助的手段として用いられており、治療効果の確認や再発のチェックなどの目的で用いられている。
今回の開発は、がんのタイプによって発する蛍光の色を変えることができ、最適な治療法の選択などに応用できるのではないかというもの。
小林久隆主任研究員などの研究内容は、この9月の米分子イメージング学会で発表するとのこと。
この研究では、研究チームは、体内で動きやすいナノ(ナノは10億分の1)サイズの有機化合物に、わずかに構造を変えた蛍光色素をつけ、同一の物質でありながら異なる色で光る化合物を5つ作り出した。
研究チームは、肺がん、乳がん、大腸がん、甲状腺がんの4種類のがんを対象に実験したようだ。
各がんごとに、抗がん剤が効くタイプなら結合する抗体を用意し、蛍光物質を載せた注射剤を作成。
タイプごとに蛍光物質の種類を変えた。
同時に4種類のがんを発症させたマウスに静脈注射し、近赤外線をあてると、それぞれのがんの場所を異なる色で光らせることができたというもの。
この方法により0.8ミリ以上のがんの9割以上を見つけることができ、0.1ミリのがんまでとらえることができたとのこと。
これまでには、がんの詳細な画像診断法には、がんに集まる性質を持つ造影剤を使う陽電子放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)法などが開発され実用化されている。
しかしながらPETで見つかるがんは現在3ミリ程度までで、解像度には限界があるとされている。
ポジトロンは、陽電子のことで、PETは、生体内の陽電子同位体の分布を計測することにより、断層写真を撮影する技術。
PETは、放射性物質とブドウ糖を含んだ薬剤を静脈注射し、これが発する放射線を特殊なカメラで映像化する診断法。
がんは糖を取り込む性質があるため、がんのある場所が鮮明に映し出される。
薬剤を注射して1時間ほど安静にした後、約1時間かけて全身を撮影する。
放射線被ばくは多少あるが、「全身のがんを一度に見つけることができる」と言われ、急速に広まった。
小林研究員の談話によると「痛い思いをしなくても、複数のがんを1回で確認でき、患者の負担が軽くなるはずだ。5年程度で実用化できるとみられ、PET(陽電子放射断層撮影)など従来の画像診断より、個々の患者に適した治療を選択する診断が可能になるだろう」とのこと。
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