岐阜大チームが異常プリオンの抑制物質を発見
プリオンとは、そもそもヒツジなどに発生するスクレイビーや人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、クルー病などの原因と疑われているタンパク質粒子です。
これらの疾患は、いずれも遅発性感染症で発病後は、亜急性進行性へと変わる。いずれも病理学的には、中枢神経細胞の空砲変性を起こし、リンパ球の浸潤などは見られない特徴を持っている。
とくに患者の脳からの抽出物を別の健康個体に接種することで病気が伝染する。プリオン病は、脳内にもともと存在する正常プリオンが変化して、異常プリオンとなり、これが蓄積して発症する。
今回の報道は、脳神経が破壊されるウシのBSE(牛海綿状脳症)や人間が感染するクロイツフェルト・ヤコブ病などの「プリオン病」の進行を抑制する物質を、岐阜大学人獣感染防御研究センターの桑田一夫教授らの研究グループが突き止めたというもの。
マウスを使った実験で、この物質が脳内に蓄積する異常プリオンを激減させることを確認したという研究になります。この研究は、治療法につながる成果として注目されそう。研究成果は、米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載されるとのこと。
なおプリオンは、253~260個のアミノ酸残基で構成される。人の場合には、253残基。
桑田教授らは、異常プリオンでは、159番目のアミノ酸(アスパラギン)と196番目のアミノ酸(グルタミン酸)との間の距離が、正常プリオンの約3倍に広がっていることに着目したとのこと。
コンピューター上で、32万種類の化合物の中から、距離の広がりを食い止める可能性を持つ44種類の化合物を抽出したとのこと。
その中から、アスパラギンとグルタミン酸との距離が広がらないよう、つなぎ止める働きのある鎖状の化合物「GN8」を合成したというもの。その詳細は、発表されていないが、推測するに両者をうまくキレート化するようなものだろうか。
実験では、異常プリオンを持続的に発現するマウスの培養神経細胞に、この「GN8」を投与したところ、異常プリオンを半分に減らすことができたとのこと。
また、プリオン病を発症させたマウスに、GN8を投与したところ、食塩水だけを投与した場合と比べて、生存期間が長くなったとのこと。
異常プリオンが正常のプリオンを修飾し、異常化するというようなメカニズムに159番目のアミノ酸(アスパラギン)と196番目のアミノ酸(グルタミン酸)が関与しているとすれば、プリオン病の発症のメカニズムの究明にもつながるかも知れない。
さらに研究を展開し、7~8年後には、人体での臨床試験まで研究を発展させたいと桑田教授はテレビで抱負を述べていました。
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