電解水でノロウイルス感染を抑制
三洋電機と群馬県衛生環境研究所との共同発表が、1月17日に行われたと報道されている。
ノロウイルスは、感染性胃腸炎の原因となるウイルスでこの冬に猛威をふるった。
下水を介して河口に住む牡蠣などの2枚貝で濃縮されるとのこともあり、牡蠣が販売不振に陥るといったとばっちりもあった。
電解水とは水に電気を流して電気分解したもの。
三洋電機の電解水は、水道水に含まれる塩素を利用して作る。
このときに発生する次亜塩素酸とOHラジカルが、「ウイルスの表面にあるとげのようなたんぱくを破壊すると考えられている。
電解水は、隔膜を介して水を電気分解する方法。
陽極側に水に含まれる陰イオンが集まり、酸素ガスが発生するが、塩素イオンがあるとこれも塩素ガスとなって放電するもの。
反対の陰極側では、水素が発生する。
水質や電圧とか電極などの条件により、塩素の発生には至らずに陽極側に次亜塩素酸とOHラジカルが濃縮された状態になる。
この電解水を殺菌に利用する考えだ。
ここで発生する次亜塩素酸は、オゾンや塩素などと同様にウイルスの表面のタンパクを強力に酸化し、破壊する効果を備えていると考えられる。
発表によると以下のような推測がされているようだ。
「このときに発生する次亜塩素酸とOHラジカルが、「ウイルスの表面にあるとげのようなたんぱくを破壊すると考えられる。とげがなくなると、小腸などの粘膜の細胞にウイルスが吸着できなくなり、感染力を失う」と研究にあたった群馬県衛生環境研究所の木村博一研究指導員は説明する。」(日経ヘルス)
「今回の実験では、三洋電機の技術で作った電解水とネコカリシウイルスの浮遊液を混ぜ、ウイルスがどの程度減るかを確認した。ネコカリシウイルスは、ノロウイルスと構造が非常に似ているため、ノロウイルスの代用ウイルスとして使われた。実験の結果、電解水を混ぜると、感染力を持つウイルス数の指標となる感染価が99%以上減った。」(日経ヘルス)
常識的には、99%抑制されたことは、劇的な効果のように見えるが、ウイルスの世界では、2のN乗で増殖が行われるので7回の分裂で100を越えてしまう。
仮に10分に1回分裂すれば、70分後に元に戻ってしまうことになる。
99%減ったことが決定的な効果と判断してよいのか残りの1%の感染価を持つものが残っておれば、短時間で復活させ1日も経つと、もとの木阿弥になることがないのかこの点がわからない。
応用するとなると水道水の塩素イオン濃度は、全国で数ppmのレベルから1000ppm程度まで広範囲にばらついているので、電解条件を安定化させるために食塩を添加するようなことになるのだろうが、陽極で有毒な塩素が生成するのでこれに対する安全対策をどれだけ確実に実施できるかが課題ではないか。
空気清浄機などの商品化に眼が向いているようだが、とげがなくなったノロウイルスは、奇妙な突然変異を起こしたり、どのように変性していくのかこのような化学的環境の履歴を受けて突然おかしな変性を示すようなことがないかなどの安全性を十分に検証した上で商品化とかのステップに移って欲しいものだ。