アスピリンと妊娠中毒
アメリカの科学雑誌のニューサイエンティストのサイトに「アスピリン(Aspirin)がある女性については妊娠をより安全なものにしてくれる」(Aspirin makes pregnancy safer for some women)のような記事がありましたので紹介します。
アスピリン(Aspirin)は、ドイツのバイエル社の代表的な消炎鎮痛剤の一つで非ステロイド性抗炎症薬の代名詞とも言うべき薬剤。
100年の歴史があります。
アスピリンの一般名は、アセチルサリチル酸 (Acetylsalicylic acid) になります。
その効能として消炎,解熱,鎮痛作用や抗血小板作用を持つことが知られています。
アスピリンの消炎鎮痛の効果は、細胞内でアラキドン酸を出発物質として、アラキドン酸カスケードと呼ばれる一連の化学反応により合成されるプロスタグランジンという生理活性物質の生成を抑制することによるものであることをイギリスの薬理学者ジョン・ベイン博士が解明し、ノーベル賞を受賞しています。
今回の研究は、オーストラリアのシドニー大学のLisa Askieによる研究で、アスピリンが子癇前症のような妊娠中毒症のリスクから女性を守れるかもしれないというもの。
32,000人以上の女性を含んだ31件の研究をレビューしたもので、血液凝固を防ぐためにアスピリンの1日あたり1錠の低投与量(1日(50-150mg)あたり1個の小児用アスピリンの同等物)のタブレットに摂取した女性が早産のような状況を1割ほど減らせているというもの。
妊娠中毒症は、初回妊娠、家族歴、肥満、貧血、多産、多胎、10歳代及び40歳代の妊娠、妊娠前の高血圧症や腎疾患の既往症などがリスク要因といわれています。
妊娠中毒症の主な症状としては、高血圧、タンパク質、浮腫(起床時の手や顔や足などのむくみ)などが認められることです。
妊娠中毒症は、全妊娠の約5%に見られ、大部分が初めての妊娠後期に現れるとされています。妊娠20週以降から出産後6~8週の産褥期にかけて出現します。
その兆候は、血圧の急な上昇と尿中への多量のタンパク質により検知されます。
子癇は妊娠中毒が引き起こす痙攣の発作ですが、脳出血から、昏睡、死に至ることも懸念されます。子癇以外にも肝障害、HELP症候群(妊娠後期に溶血、肝酵素の上昇、血小板減少を示す重篤な疾病)、腎障害、さらに胎児にも子宮内発育不全、胎児仮死などの影響を及ぼします。
Askieの見解では、このアスピリンの効果は、炎症を減少させるか、または凝血が形成するのを予防することによると考えているようです。
以前の研究では、アスピリンの効果については、相反するデータもあったようですが、今回の研究で子癇のリスクが高い女性については、低アスピリンの投与などの抗血小板反凝固剤の投与が有効だというように考えても良いかと思われます。
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