コレステロール代謝の一部解明
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に関係して最近、以下のようなニュースが伝えられています。
<<メタボ薬開発に新たな手掛かり=コレステロール代謝の一部解明-東大>>
(4月25日19:46)
体内のコレステロールを肝臓で胆汁酸に変える作用を促進するたんぱく質の働きが、コレステロールが足りないときに働く別のたんぱく質によって抑えられていることを、東大大学院農学生命科学研究科の佐藤隆一郎教授らが解明し、25日までに米生化学会誌に発表した。
これら2つのたんぱく質の結び付きを邪魔する物質を見つければ、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・治療に役立つ機能性食品や新薬に応用できる可能性があるという。
[時事通信社による]
東大大学院農学生命科学研究科の佐藤隆一郎教授の研究室では、脂質代謝を制御する転写因子とSREBP((Sterol Regulatory Element-binding Protein; ステロール調節配列結合蛋白:すなわち中性脂肪の合成系で合成酵素の転写調節を担っている転写因子のこと)や核内受容体のクロストーク(SREBPと核内受容体との連動メカニズム)と脂質ホメオスタシス(脂質の恒常性の維持)などの研究で注目の研究室。 2006年6月の日経BP社のBTJジャーナルでも『メタボリックシンドロームに挑戦するお奨めの大学研究室』として紹介されています。
肥満症とは脂肪組織において貯蔵されている中性脂肪(トリグリセリド)が過剰な状態のことです。
コレステロールは哺乳動物にとって必須な分子であり、細胞におけるコレステロールの含量、分布は厳密にコントロールされていいます。
コレステロールは、人の胆石中で発見された結晶性の4環第2アルコール。
脊椎動物の主要なステロールで、ヒトのほとんどの細胞に存在しています。
特に脳、神経組織、副腎に多く、肝臓、腎臓、皮膚にもかなり含まれています。
コレステロールの生理的な役割は、リポ蛋白質や生体膜の構成分として細胞の機能を維持する働きと胆汁酸やステロイド・ホルモンなど各種ホルモンの原料になることです。
血液中のコレステロールの正常値は、120~220mg/dlで、コレステロールの含有量の高い食事を多量に摂取続けると血清中のコレステロールが増え動脈硬化などを促進するとされています。血液中のコレステロール、中性脂肪が高い状態を高脂血症と言います。
コレステロール等の脂質は直接水に溶けないので、血液中では周りをアポタンパク質などで覆われた低密度リポタンパク質(LDL)の形で流れます。
低密度リポタンパク質(LDL: low density lipoprotein)というのは、コレステロールエステル、中性脂肪を中心に含み、これをリン脂質、タンパク質の層が取り巻いた構造を持っています。
各粒子には、表面にアポリポタンパク質B-100が1分子存在し、これを細胞表面のLDL受容体が認識し、結合して、細胞内へと取り込みます。
細胞内に取り込まれたコレステロール、中性脂肪は細胞に利用されます。
血清コレステロールが多く含まれているのがHDL(high density lipoprotein)で、HDLは動脈壁のコレステロールを除去し肝臓へ運ぶ働きがあります。
こちらが善玉コレステロールと呼ばれています。
LDL濃度が高くなると、動脈硬化の原因となることから、悪玉コレステロールとも呼ばれています。
一般的には、170mg/dlを超えると食事制限が必要とされています。
またHDLコレステロールが40mg/dl以下、または血清中の総コレステロールが20%以下となると、動脈硬化性疾患が多く発生するといわれています。
人体を構成するすべての細胞の表面には、このLDLを捕まえ、それを細胞内へと取り込むLDL受容体が存在しています。
高脂血症状態となると、LDL受容体の数が減少していて、血液中のLDLは行き場を失い、動脈壁などに沈着して、動脈硬化を引き起こします。
コレステロールの多くは、最終的には肝臓で酸化され、胆汁酸として排出されます。
今回の研究は、この体内のコレステロールを肝臓で胆汁酸に変える作用を促進するたんぱく質の働きが、コレステロールが足りないときに働く別のたんぱく質によって抑えられていることを発見したもの。
LDL受容体の数を増やす効果のある機能性食品というのも魅力的ですが、コレステロールの代謝のメカニズムが明らかになるとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・治療に役立つ機能性食品や新薬に応用できるとのことで大いに研究の進展が期待されます。
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